歯周病とは歯をささえる歯槽骨が溶けて減っていき、最後は歯が根け落ちていく細菌感染症です。主な症状は
① 歯ぐきが腫れる・出血する。
② 歯周ポケットが深くなる 歯肉が退縮する。
③ 歯肉から膿がでる
④ 歯がぐらぐらする。咬むと痛む
⑤ 歯が抜け落ちる
これらがほとんどが自覚することなく進行していく恐ろしい疾患です。
原因は細菌感染・遺伝的要因・生活習慣・免疫力低下等があげられ、それらがあいまって引き起こされます。
初期の症状(歯肉からの出血・腫れ)であれは適切なブラッシングと歯科医院での歯石除去で治まります。
正しいブラッシングを行い、歯科衛生士による適切な歯垢・歯石の除去で著しく改善します。
進行した歯周病では歯のかみ合わせの調整・歯牙の固定で歯ぐきの安静を図り、歯周ポケットの深部に付いている感染源となっている歯石を除去し、歯根面の汚れを徹底的にとります。
さらには抗生剤投与による除菌治療、歯周外科手術を行い、環境改善を行います。
歯周病治療においては、定期的な検診で歯ぐきのメンテナンスを継続していただくことが大切です。
歯周内科治療
歯周病は細菌感染症ですので、原因となる細菌を調べてから菌を減らす、あるいは除菌を目的とした「歯周内科治療」と通常の歯周治療と組み合わせることで、「細菌学的の歯周治療」をおこないます。
歯周病を引き起こす細菌は数種類が単独、あるいは複合的に相互作用を起こしていると考えられています。
患者様それぞれの原因菌を細菌検査で調べて、その菌に有効な薬剤を選択し投与することで除菌します。
細菌をしらべるには
①簡易検査 (細菌の有無のみを検出) バナペリオという機器を使用します。
②同量検査 (細菌の有無とその総量数を検出) 外部検査機関に依頼しています。
両者を状況にあわせて行います。
また、プラークの中の細菌を実際に観察していただき、確認してもらう位相差顕微鏡も使用します。
細菌検査器 バナペリオ(図①)
細菌を観察する顕微鏡(図②)
口腔内の細菌の拡大像(図③)
歯周組織の再生療法
エドムゲイン
歯周病が進行すると歯を支える歯槽骨が溶けていき、吸収を起こしていきます。
骨吸収も全体的に落ちていく水平的吸収と、縦にくさび状に減っていく垂直的吸収があります。
最新の歯科医学の進歩は、歯周病で減ってしまった歯槽骨の再生を可能にしました。
それが「エムドゲイン」です。
「エムドゲイン」は哺乳類の胎生期に歯ぐきが作られる時に、未分化の組織に歯周組織を作り出す指令を出すタンパク質です。生体物質であり、副作用は認められません。垂直的な骨吸収を起こした部位を外科的に開け、「エムドゲイン」を塗布します。
外科手術の模式図
GTR法
GTR法(Guided TissueRe generation…組織誘導再生法)は、垂直的骨吸収部位を外科的に粘膜を剥離した後、特殊な膜で欠損部をおおうことで、膜の下に骨組織が治癒・再生される方法です。膜(メンブレン)は術後数週間後に除去しますが、自然に吸収してなくなる タイプの製品もあります。
垂直的骨吸収部位を膜で覆うことで、骨組織の治癒・再生の場を確保する。
エムドゲイン治療もGTR法も適応症の選択が大切です。精密な診査に基づいて診断した時にのみ行います。
また、基礎的な歯周治療を確実に行い、プラークコントロール(歯垢の患者様自身での適切な清掃)がなされていることも条件です。
リコール・メンテナンス(定期検診の継続)
歯周病はいったん治癒しても再発しやすい疾患です。そして多くが痛みを感じない慢性疾患として経過していくので、定期検診を継続していく中で、管理していくのが重要です。
3~6か月ごとに定期検診をうけて、歯垢・歯石の除去、歯面のクリーニングを受けて、歯周病予防に努め、もし再発した時には早期に治療介入していきます。
当院では定期検診を御希望の患者様には、お知らせをお送りしております。